読了小説 2007

「セレーネ・セイレーン」 とみなが貴和

ライトノベル

「セレーネ・セイレーン」 とみなが貴和 講談社X文庫ホワイトハート
 ※ 思いのほかきっちりSFで驚きました。(失礼)
 秘書ソフトとして生まれたドーンがいつしか個性を持ち、気まぐれからボディを与えられ、戸惑いながらも少しずつ自我や感情の芽生えていくのがとても自然に感じられてよかったです。体感し交流し考えるすべてが喜びであり驚きであり恐れでもある。ゆっくりとしたドーンの成長と共にどこがどうと言えない不安を孕んだまま物語は進み、頂点から一気に駆け抜ける衝撃の展開が辛い。
 機械だから避けられなかった。機械じゃないから気付かなかった。「ロボット」であると同時に「人間」であるが故に両方ともの限界に知らず囚われ、バタバタと閉まる扉に追い立てられるように悲劇に落ちる。
 たったひとつ、忘れないと決めた記録を胸に抱いて月を見つめ、たぶんそれ以外のすべてを捨て去っても自分を生かそうとするドーンが、いつか。――いつかがあるとは思えないけれど―― 安らげる終焉があればいいのにと思うのです。

 ――初めて自分に与えられるボディを見たときに「うつくしいです」と答えたドーンが、私は愛しい。
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4062553635 セレーネ・セイレーン (講談社X文庫―ホワイトハート)
とみなが 貴和
講談社 1998-09

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(余談……てーか。「ロボット」という単語をみるたびに「ロボットじゃないよ、ア・ン・ド・ロ・イ・ド」と指を振りたくなるんですけど<だいなし)

「セレーネ・セイレーン」 とみなが貴和 講談社X文庫ホワイトハート

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「ようこそ女たちの王国へ」  ウェン・スペンサー

SF & ロマンス~

「ようこそ女たちの王国へ」  ウェン・スペンサー  ハヤカワ文庫SF
 ※ ロマンスですよ! や、ロマンス好きさんは是非!
 設定が設定なのでもしかしたら根っからのロマンスファンは受け付けないかもですが、いや、これがしっかり作られてる設定なんですよー。
 女性にくらべて男性が極端に少ないという(遺伝子情報をもってる)世界の社会構造とかがきっちりしてて、その世界でどう育てられてどう考えるか、ちゃんと納得できるように話は進みます。つまりね、この世界においては男性ひとりが一家の姉妹全員と結婚することになるわけです。一家が裕福であれば二人目の夫を向かえて姉妹を分家することもあるけれどそれにしたって基本的には一夫多妻なのです。そして男性は希少であるがゆえに一家の財産であり、あるいは夫を得るために交換されるもので、さらにうかつに外に出しているとさらわれて強姦されちゃったりするので家の中に閉じ込められるように育てられているわけですね。極端な男女逆転世界。
 そんな世界でもロマンスは生まれるんですね~。そう、雰囲気はまさにヒストリカルロマンスなの。作家が構築した異世界、異文化における現実世界とは180度違う制限のもとに展開する波乱含みのロマンス。
 でも前半はそんなにロマンス向けな展開はきつくないし、後半は王家をめぐる陰謀に巻き込まれて主人公が誘拐されたりもするし、何しろひきつけられる話なのでロマンス好きさんじゃなくても面白いと思うんだけど? どっかな?
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4150116393 ようこそ女たちの王国へ (ハヤカワ文庫 SF ス 16-2)
エナミカツミ 赤尾 秀子
早川書房 2007-10-24

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 これはハヤカワ文庫SFから出てますが、魔法もドラゴンも出てこないけどFTの方が読者傾向に合う様な気がするんだけどなー。
 それにしてもこのタイトルはもーちっとなんとかならんかったのか? どうも狙いどころを間違っている気がする……。

 

「ようこそ女たちの王国へ」  ウェン・スペンサー  ハヤカワ文庫SF

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時代小説 和田はつ子、佐伯泰英

時代小説

口中医桂助事件帖 すみれ便り」 和田はつ子 小学館文庫
 ※ 今回は大悪党との直接対決はないので少し息をつく感じがあります。とはいえ事件の陰にひそむものがないわけでもないです。
 そんな中、病のために歯を抜かなくてはならなくなった少女のために良い入れ歯師を探すうち本橋と出会うのですが、本橋はある事情から生きる意欲をなくしています。本橋に気を使う桂助になんだか面白くなくて悋気を起こしている鋼次が相変わらずです。ちょっとうっとうしいんじゃねぇ? と思わないでもないですが、他が皆おだやかで内にこもるような人物ばっかりだからちょうどいいのかも。(ヒロインのはずの志保が影が薄いのもいつものことですね)
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4094081771 口中医桂助事件帖 すみれ便り (小学館文庫 わ 7-5 口中医桂助事件帖)
和田 はつ子
小学館 2007-06-06

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古着屋総兵衛影始末 死闘!」 佐伯泰英 徳間文庫
 ※ 佐伯泰英という作家がすごいらしい、と聞き及んでこれならシリーズ1冊目だし、と買い込んで積んだのがもう……2、いや3年前くらい? ようやく読みました。(遅すぎ)
 徳川家康の命を受け表家業は古着屋として、その実徳川家の危急の際に影で働く隠れ旗本である大黒屋総兵衛と、それに成り代わろうとする悪人との文字通り「死闘」の話です。息つく間もなく襲ってくる敵に対して一歩も引かずに戦う総兵衛たちもいいし、もしかしたらここが綻びるかも、と思わせる弱みが見えたりするのにも煽られて先を追うように読みました。とても面白かったです。
 でも、私は組織vs組織の抗争(やくざじゃないだろ)よりももっとこう、市井の人間の話の方が好きなんだなぁ。話はすごくうまいと思うし面白かったから、じゃあ別のシリーズを読んでみようかな、と思います。
">死闘! (徳間文庫―古着屋総兵衛影始末) (←アマゾン)
"> (←楽天)

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HQ P・マーシャル、L・エリス、S・フォックス

ハーレクイン

HS-166「貴婦人の条件」 ポーラ・マーシャル
 ※ ヒロインが苦境にたっても回りのいけ好かない連中に見下されてても(この時代、後ろ盾を持たない淑女の立場はすごく弱いのだよ)どっか前向きでくじけないのがいいです。ヒーローが契約結婚を持ちかけて来た時も影で言いたい放題してるのを聞いて「きっと思い知らせてやるわ」と決心して、もちろん見返してやるんですけど! 花開くように魅力的になるヒロインに惹かれるものの頑固でどうしても手を出せないヒーローってのは楽しいですよ。ええ。

 

HA-4「罪深き変身」 リン・エリス
 ※ この手の話の場合、最後には父親が反省して和解するものだと思ってましたが、この父親、反省はしても和解してませんよ……。あらまー。
 ヒロインは父親に認められたいあまりに遅すぎる反抗をしているのですが、根がまじめでどうにもけなげなのであまり馬鹿やってる気がしません。第一父親がああだしなぁ。
 ヒロインもヒーローも高校のころから片思いをしてるくせに気後れして目線もかわせないまま卒業して、どっちもどっちって感じです。じれったいけど素直なとこもあってわりと好き。

 

I-1856「ガラス越しの記憶」 スーザン・フォックス
 ※ 状況と気持ちがすれ違ってるだけなのであまりヒロインにひどいことにはなってません。……ってだからスーザン・フォックスに何を期待してるんですかね、自分は。
 まぁ、ようやく会えた生き別れの妹が事故で自分のことを忘れてしまう、というのは十分ひどいことではありますが。ヒロインとヒーローはぎこちないながらも少しずつふれあって寄り添うようになっていますし、ヒロインが秘密をかかえている引け目があったりするけどどこかほのぼのとした展開です。

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時代もの 宇江佐真理、山中公男

時代小説

「卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし」 宇江佐真理 講談社文庫
 ※ 捕り物もありの人情もの、とてもいい塩梅で面白かったです。
 食い道楽な舅の書き記す「食べ物」の話をエピソードにからめながらすれ違った気持ちを持ちかねる夫婦の関係が描かれています。世間知らずの妻が自立しながら自分の狭さに気がつくのと同様、かたくなだった夫もまた自分と妻への気持ちに向き合うようになります。(どっかハーレクインと構造が似ている感じがするなぁ) 江戸に時代を移しての女性の自立心とか男性の意識改革とか、おおげさなことをいうとそういう感じの話しかな、なんて。いやまぁこんな硬いこと、読んでる間はカケラも考えませんけどね。
 登場人物がしっかりしていて気持ちに嘘がない感じが良いです。なかなかうまくあわない二人や、そんな二人をやきもきしながら見守る人たちにすんなり同調して一気に読んじゃいました~。
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4062757796 卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし (講談社文庫)
宇江佐 真理
講談社 2007-07-14


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「煮売屋の入り婿 湯島坂下狂騒記」 山中公男 学研M文庫
 ※ お話の出来はいいし文章もうまいし充分面白いです。が、主要人物がムサいおっさんばっかりなのがちょっと、ねぇ?
 まぁ、なんで買ったかといえば「煮売り屋」って単語になんだか惹かれたんですねぇ。もうちょっと入り婿どのが活躍する捕り物かなんかと思ってたんですがね、まったくの蚊帳の外でした。
 そうだなぁ、香具師の三州が薀蓄と知恵で知り合った煮売り屋を助けるとことか、なんとなく都筑道夫さんの砂絵かきセンセーみたいな感じかも。でも比べるとかなり泥臭い感じがするし登場人物の機微とかこー、微妙に好みじゃない反応をするのね。自分は次は買わないと思うけど、好みが当たれば面白いお話だと思います。

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4059004650 煮売屋の入り婿―湯島坂下狂騒記
山中 公男
学習研究社 2007-03


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霜島ケイ、御堂彰彦

ライトノベル

「カラクリ荘の異人たち ~もしくは賽河原町奇談~」 霜島ケイ   GA文庫
 ※ ぼんやりでゆったりでなんかさらっとしたお話ですね。こーゆーゆるゆるな話ってけっこー好き。
 時に危ない場面もあったりするんですが、なんでかのんびりしたイメージなのは主人公の性質によるよねえ。いかにもトラウマを背負った難しい性格……かと思えるのに妖怪だろうが困った隣人だろうが言われたことに素直でひねくれたところがない。てかさ、登場する妖怪だろうが人間だろうがあまりに自然にそこに在るんでどうしたもんかと思うんですが。あちらとこちらは相容れるものではないとどんなに忠告されてもなんだか深刻になれないのは主人公の反応に釣られているからだけなんだろうか。
 こういう自覚もなくてどっか余裕のない子供を周りの大人たちが(人間も妖怪も幽霊も)ゆるゆると見守っているのがなんだか昭和な匂いです。(?)
 ところでラブ方面は微妙過ぎねぇ? 彼女~、この主人公のどこにストーカーまがいの行為をするほどのことがあるのか聞いていいっすか? あとをつけて声をかける根性があるならもうちょっとなんか普通にアプローチできるんじゃないかと思いますが、もしかしてそういう方面な気持ちは欠片もなかったんすか。ただの興味ですか。あれ?
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4797342986 カラクリ荘の異人たち~もしくは賽河原町奇談~ [GA文庫] (GA文庫 し 3-1)
霜島ケイ ミギー
ソフトバンククリエイティブ 2007-07-12


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 あ、アカネ可愛いねーーっ。

 

「付喪堂骨董店 ”不思議”取り扱います
「付喪堂骨董店 ”不思議”取り扱います」2巻 御堂彰彦 電撃文庫

 ※ 咲、可愛いなぁ。いつも怒っているような無表情、無感動な態度だけれど実は表にでないだけでずいぶんかわいらしい反応もするし、見た目通りというか常識的ではない考え方してるんだけどそれなりにいろいろ考えすぎちゃったり暴走したり。根っこのとこが素直なので読んでてイヤな気がしないのがマル。まだまだ奥に事情もありそうだけどね。
 で、主人公は主人公で素直でスレてないのがいいですね。何事においてもそうなんですが特に咲に対しての反応がね~。おたがいに惹かれるところがあるのだけれど自覚があったりしたくなかったり。微妙にそっぽ向いてても無視できなかったり。ね?
 話自体は基本的に良く見る構造だと思うんですが(人智の及ばない部分―アンティーク―で引き起こされる冷酷な結末もありなとことか)登場人物が魅力的なので2割増し。(ナニサマ)
(↓アマゾン)
">付喪堂骨董店―“不思議”取り扱います (電撃文庫)">付喪堂骨董店 2―“不思議”取り扱います (2) (電撃文庫 お 9-5)

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野梨原花南、今野緒雪、椹野道流

ライトノベル

「ヘブンリー 君に恋してる」 野梨原花南 コバルト文庫
 ※ 楽しいお話ですよ。学園生活のいいとこどり、出来てるかなぁ? まぁそれにしては学園ごと人質にとったテロだのなんだのきな臭かったりしますが、それすらスパイスにして仕立てちゃってるとこがナイス。
 ただそれぞれの登場人物の謎がまだまだ隠されていて微妙によっしゃーって感じにはならないんですが(頭悪そうな文章……)まぁそのうち読んでればわかるっしょ。そんで謎があるのはわかるけど、誰がその謎を知ってるのか知らないのかがわかんないとこもこー、口惜しいような落ち着かないような。何にしろ続きが楽しみです~。
 つか、早く読ませて。
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4086010364 ヘブンリー君に恋してる (コバルト文庫 の 3-35)
野梨原 花南
集英社 2007-06


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「マリア様がみてる フレーム オブ マインド」 今野緒雪 コバルト文庫
 ※ 短編を写真をキーワードにひとつながりにまとめた1冊です。いやー、蔦子さんは実に良いバイプレーヤーですねー。やっぱ好みだなぁ。主役にならなくても近しいところでしっかりみてて、時にはそっと力になって。痛くて苦い事実も、時にはただ認めてもらうだけで苦痛が和らぐ。
 薔薇様たちを中心に据えたフレームからは外れているけれど、世界が狭くて傷つきやすい年頃の、派手なところはなくてもそれぞれに大切なエピソードたちです。
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4086010348 マリア様がみてるフレームオブマインド (コバルト文庫 こ 7-54)
今野 緒雪
集英社 2007-06


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「にゃんこ亭のレシピ」 椹野道流 講談社X文庫ホワイトハート
 ※ かわいい話だなぁってゆーか、少しばかり不思議なことが当たり前に起こる村で暮らし始めたゴータとサトルのお話です。なんですが普通に考えれば不思議なことはあるけれどとりたててどうということはない日々の暮らしのことしか書いてないのにどうして面白いんでしょうねえ。それが一番不思議かも。(失礼な)
">にゃんこ亭のレシピ (講談社X文庫―ホワイトハート) (←アマゾン)
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樹川さとみ、内山 靖二郎

ライトノベル

「グランドマスター! 総長はお嬢さま」 樹川さとみ コバルト文庫
 ※ タイトルの「総長」の文字をみて、今回樹川さんてば学園物!? とか思ったのは内緒です。ホラ、番長とか暴走族とか裏番とか~(妄想中)。真面目で硬派な応援団のハルが裏組織の総長になったお嬢さまのお守りをまかされて振り回されて、さらにはお嬢さまが総長になったのが気に入らない連中の襲撃やら陰謀やらに立ち向かう羽目に……(暴走中)っていやまぁ、そんな話だけどちゃんとファンタジーです。裏番じゃありません、大丈夫!(ってアンタが言うなよ)
 総長であるお嬢さまをはじめ巡礼メンバーがとことん個性的なので、クソ真面目なハルの苦労も耐えません。でもさ、どっちかってーと、アレよ。選りに選ってこのメンツを選んだリュパ司令官、いかすわ~。底の知れないオヤジっていいよね~(遠くから見守る分には)。
 ま、そんなこんなで楽しいシリーズが始まる予感です。樹川さんらしくどうも一冊目はキャラにとっつきにくいんだけど巻を重ねるごとにヒートアップしてくよね。ああ、楽しみ!
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4086010321 グランドマスター!総長はお嬢さま
樹川 さとみ
集英社 2007-06

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「神様のおきにいり ねこまたの巻」4巻 内山靖二郎 MF文庫
 ※ 智宏は相変わらず天然で妖怪をたらしてます。まぁそれだけじゃなくて、きっとまっすぐにコチラを見るその視線に惹かれるんだろうなぁ。何度迷っても何度ダメかと思ってもどんなに不安でも、珠枝と――珠枝が象徴する異なる世界と――共にあることを選ぶ智宏の姿に。でもまぁ、やっぱり智宏はどっかニブいんであるが。そこがいんだろうねー?
 ふふふ、ところで今回は手乗りサイズに猫耳にしっぽつき。大サービスっすよ~。
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4840118256 神様のおきにいり 4 ねこまたの巻 (4)
内山 靖二郎
メディアファクトリー 2007-03


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「鏡のお城のミミ」 倉世春

ライトノベル

鏡のお城のミミ はるかな王国に寄せて」 倉世春 コバルト文庫
 ※ 基本的にネタバレは嫌いなんですが、ごめんね、だってこれがそう終わらないなんて思う人、いないでしょ。
 ええ! 大団円です! よかったね~っ。
 ああもう、ほんとにどう収まってくれるやらとドキドキでした。ほんっとにどん暗かったからねえ……(しみじみ)。それぞれ自分の選んだ立ち位置で迷うことなく(ホントは迷ったかもしれないけど)戦いぬきました。戦わなくてすむならそれにこしたことはなかったと思うけれど、でも避けられないことなら逃げない。先代たちが選ばなかった、選べなかった生き方を彼らは手にしたのだと思います。そうしてそれぞれ愛する人の手をとることが出来たのです。
 思えば最初の頃はミミが三国を傾けんばかりでしたが、中盤以降はエリックが動けば動くほどどんどん立場も国政も悪くなっていくのがつらかった。ただ、ミミと二人のささやかな幸せを求めていただけなのにどうしてこんなに歪んでしまうのかと思えばなおやりきれないようでした。どこまでも底のない絶望に墜ちてしまいそうな展開にそれでもよく踏ん張ったと思うよ、二人とも。……もとからか弱い女の子ではなかったけれど、ミミもずいぶんたくましくなったよね。
 まぁね、幸せになった人たちはおめでとう。それ以上の言葉はありません。あなたたちの明るい笑顔が嬉しいです。
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4086010267 はるかな王国に寄せて―鏡のお城のミミ (コバルト文庫 く 9-20)
倉世 春
集英社 2007-06

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 そういえば~。「鏡のお城」というキーワードは1巻のエピソードからのものだったのにそのままシリーズタイトルになっちゃったよねえ、と思ってましたが今回キレイに落としてくれました。言うときゃ言うじゃん、エリック。

 でも、さ。本当に倉世さんのお話は甘いようで甘くない、よね。
  ~以下さらにネタバレ

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「やさぐれ三匹事件帖」和田はつ子

時代小説

「やさぐれ三匹事件帖」
やさぐれ三匹事件帖 恋刀」 和田はつ子 ベスト時代文庫

 ※ 和田さんのお話はこう、勧善懲悪とか悪をなぎ倒すとかのアクションものでもなく、かといって人情ものというにはなんとなく微妙にすっきりしない感じがあるのだけどやっぱりそんな感じ。
 でも、というか主人公三人それぞれの性格や立場の違いがそれぞれのベクトルを向きながら調和しているのが面白い。生真面目な同心、和木が事なかれな上の意向でなかなか思うままに事件に向かえない時に、検屍を頼む据物師(処刑人を兼ねた刀の鑑定士だそうだ)林源左衛門と闊達な蘭方医、園田に相談して事件を追ったりもする。謎解きの方は、なんか園田が頭がよすぎて普通の人が思考を追えないタイプの推理をするので読んでてちょっと強引な印象があるかな。
 さて、才能があって剣の達人で奔放な園田は格好いいけれど、今のところ謎が多すぎてどこか胡散臭くて気がそれる。和木はどこか型どおりに話を進めるばかりで今ひとつ深みが感じられない気がする。で、一番人物が書けてるなぁと思うのは本来狂言回し的役割になるんじゃないかと思われる林ですね。浪人ではあるけれど名のある家の当主である。とはいえ役目ゆえに下に見られることも多く、人はいいが屈折したところもある。和木の妹に恋をしていて花を贈っては迷惑だったかもとしょげたり、嫁を薦める母に辟易していたり好感が持てるのよ。まぁ、話がすすむうちに園田の謎あたりも描き込んでくれるんじゃないかとは思うんだけどね。
(↓アマゾン)
">やさぐれ三匹事件帖">恋刀 やさぐれ三匹事件帖 (ベスト時代文庫 わ 1-2) 
 ところで、ベスト時代文庫は何を考えてこんなシリーズタイトルつけたんでしょうか。読むとなんか違う感がふつふつしてくるんですが。だいたい、三人とも全員立派に家を構えてるじゃないのねぇ。(言葉本来の意味にとるのが間違いですかね) てーか、「やさぐれ」って言葉にはもっとこう、荒れた印象があるんだけど。浪人は浪人でも長屋暮らししてるとかさぁ。どうよ?

「やさぐれ三匹事件帖」
やさぐれ三匹事件帖 恋刀」 和田はつ子 ベスト時代文庫

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